PBR case1 踏切
おまじない
陳腐なメロディに
不思議な言葉
童謡によく似たものだ
年端もいかない少年少女にとっては
他のお遊びとなんら変わらない
唾垂らし笑う太陽の下で
無垢な心だからこそ浸透していくのだ
ところで、この奇妙なお遊びは
いったい、誰から伸びた枝だったか
オマジナイ
それは
影と
踊るお呪い
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イライラしているときというのは
頭なのか心なのか
心だとすればそれは一体どこにあるのか…
自分の行動を妨げる要因
「私」にとってそれが今この場合、目の前にある開かずの踏み切りというわけだった
日差しはとても強く
照り付けるという表現がぴったりなほどの快晴。
踏み切りの向こうにひとつ
ゆっくりと頷く人影
初対面ではない
はずだった
出会ったことはない
はずだった
瞳が吸い込むように
周りのものが滲んで見える
心が吸い込まれるように
踏み切りと響き合う棘が
消えていく
手を伸ばせば届きそうな距離に、確かにいる
そんな感覚だった
この辺りの人々にとっては
車の濁流も
右目ばかり光る信号機も
見慣れた、いつも通りのことでつまりは日常。
だからいつも通り、やたらに長い踏み切りがいつも通り、待っている
はずだった
電車爆破のテロニュースが三日ほど液晶を塗りつぶした